派手な打ち上げ花火を上げて、失態を糊塗するのは政治の常套手段だ。黒田東彦(はるひこ)・日銀総裁による「バズーカ砲」と呼ばれた追加金融緩和で誤魔化したかったのは「アベノミクス失敗」か、「閣僚スキャンダル」か、「再増税決断」か。
ぶっ放された砲弾が庶民生活を粉砕しようが、セレブ生活を謳歌する日銀マンには痛くも痒くもない──。
それもそのはず。財務官僚の「天下り最高ポスト」とされる日銀総裁の年収は3422万円(2013年度までは東日本大震災の復興に協力するため首相と並んで30%減額)。
しかも、黒田総裁は財務省退官時(最終役職は財務官)に推定5000万円以上の退職金を得た後、同省の「天下り指定席」のアジア開発銀行総裁時代には年間約47万8000ドル(在任8年間でざっと4億円)の収入を得ており、官僚時代の総収入(推定4億円)を合わせると生涯収入は推定10億円を超える。
その一方で、日銀は一般職員の年収カーブも庶民とは全く違う。
日銀キャリアと呼ばれる総合職の職員は30代前半の課長補佐クラス(企画役補佐)で年収1000万円を超え、課長(企画役級)以上の管理職は年俸制となって一気に年収がアップ。
日銀の規定によると、表向きの年俸は課長クラス(企画役級)が1200万円、部長クラス(参事役級)1300万円、局長・審議役級では1450万円が上限と定められている。あまり多くないように見えるが、年俸制といいながら別にボーナス(昨年は推定月給換算2.1か月分)がしっかり支給される。
さらに“闇のボーナス加算”もある。課長クラス(企画役級)は最大55万円、局長・審議役級になると105万円が、毎年5月と11月のボーナスに「職務手当」という名目で上乗せされる。いわば“2階建てボーナス”なのだ。この手当は管理職以外にも支給され、課長補佐(企画役補佐)なら同30万円が加算される。
それらを合わせた役職ごとの「本当の年俸」の上限は課長クラス(企画役級)が約1500万円、部長クラス(参事役級)は約1700万円、局長・審議役級は約1900万円という計算になる。
手当も手厚い。「住宅手当」(首都圏)は最大月5万5000円、「配偶者手当」(扶養手当)が月3万5100円、地方に単身赴任すると管理職なら最大月7万7000円の手当が付く。
※週刊ポスト2014年11月21日号