戦後70年となる来年、中国は抗日戦争勝利の記念式典にアメリカのオバマ大統領やロシアのプーチン大統領などを招き、大々的に行なう準備を進めている。
評論家の室谷克実氏はここ2年ほどで中韓両国が「歴史修正主義」という言葉を多用するようになったことに注意を促す。すでに合意されている歴史的事実について、異論や反論を唱えたり、修正を要求することが「歴史修正主義」であるが、この言葉が持つ意味は重い。
「日本人にはピンと来ない言葉ですが、実は世界的に非常に大きな意味を持つ。とくに欧米ではナチスドイツのホロコースト否定論者が『歴史修正主義者』と自ら名乗っていたため、この言葉に露骨な嫌悪感を覚える人が多い。中韓は日本に『歴史修正主義』というレッテルを貼ることで国際世論を味方に付けようとしています。慰安婦を『sex slave(性奴隷)』と言い換えたのと同じ、姑息な手口です」(室谷氏)
中韓が日本を「歴史修正主義」と呼ぶのはおかしいが、国際社会では功を奏している。すでに米ニューヨーク・タイムズや英フィナンシャルタイムズは安倍首相を「歴史修正主義者」であると論じている。
日本を「反省なきファシズム国家」と断ずる国際世論を誘導し、米国大統領までも戦勝記念式典に参加しやすい土壌を巧みに形成する。来年9月3日、習近平、朴槿恵とともにプーチン、オバマまでがこの反日イベントに参列するとなれば、日本にとっては最大の悪夢だ。
※SAPIO2014年12月号