黒田東彦(はるひこ)・日銀総裁が追加金融緩和を発表した10月31日から、わずか2営業日で日経平均株価は1200円以上急騰したが、国民には日銀のやろうとしていることがまるで理解できない。
黒田総裁は二言目には、「物価上昇2%の目標実現」というが、給料が上がらないサラリーマンにとってインフレは生活を苦しめる敵でしかない。国民は虎の子の年金資金を株価吊り上げのマネーゲームに勝手に突っ込まれてしまったが、日銀マンは老後の保障に数々の特権がある。
民間企業の多くは管理職でも定年後に再雇用されると役職はなくなり、給料は大幅に下がるが、日銀には管理職を課長クラス(企画役)で再雇用する「特別嘱託」の制度がある。月給は最高約66万円、年2回の職務手当とボーナスも支給され、年収1000万円近くになる計算だ。
退職一時金は課長クラス(企画役級)が約2500万円、部長クラス(参事役級)約2800万円、局長・審議役級約3100万円。
最大の特権はバカ高い年金だ。本誌は2003年当時、プロパー職員から総裁にのぼりつめた福井俊彦氏が厚生年金の年間300万円の他に、日銀独自の企業年金を年間333万円(月額28万円)受け取っていることをスクープした。1か月あたり計50万円以上になる。
本誌試算では、総裁にならずとも局長・審議役級になれば月額約20万円の“日銀年金”がもらえる。厚生年金を加えると受給額はやはり月50万円近くになる。
そのうえ、幹部たちは地方銀行やメガバンク系列のノンバンク、シンクタンクなどに天下り先を用意されるから、まさに「揺りかごから墓場まで」。自分たちだけは「インフレなんて怖くない」と言い放てるわけだ。
※週刊ポスト2014年11月21日号