毎年恒例、フランス産ワインの新種「ボジョレー・ヌーボー」の解禁日(11月20日午前0時)が迫ってきた。“空前”といわれるワイン人気が本物かを知るうえでも、今年のボジョレー商戦の動向が注目される。
ワインメーカーのメルシャンによると、国内のワイン市場は2008年から拡大を続け、2013年は出荷数量が35万キロリットルを超えるなど過去最高を記録した。
過去に遡れば、バブル真っ盛りの1980年代後半に沸き起こった高級ワインブームや、1990年代に健康志向で赤ワイン人気が高まるなど、ジワジワと消費量を押し上げてきた。
そして、1本1000円を下回るような低価格の輸入ワインが多く出回るようになった2012年より市場が一気に拡大。いまは「第7次」となる空前のワインブームの真っただ中にあるという。
都内でワインバーを経営する店主も、近ごろのワイン人気を実感している。
「昔はワインといえば高級レストランで味わうお酒というイメージが強かったのですが、今はスーパーやコンビニでも気軽に買えるようになったので、“ワイン通”が増えました。ウチの店でも『果実味』や『産地』、『好きな銘柄』などを細かく指定してオーダーするお客さんが多い」
だが、消費者の選択肢で大きなウエイトを占めるのは、やはり価格だろう。「自宅で飲むなら1本1000円台、外で飲んでも3000円以上するようなワインは手が出にくい」(30代のワイン好き女性)といった声は少なくない。
そこで、気になるのが今年のボジョレーだ。品質重視の消費者のプレミアム志向に乗った側面もあろうが、円安による輸入コストの増加で価格は全般的に高め。各メーカーとも3000円前後のボジョレーを価格帯のメインに据えている。
「長期熟成のヴィンテージワインなどと比べて、味がライトで差別化が難しいボジョレーで3000円台は高い。採算を取るためには仕方ないが、消費増税による節約ムードもある中、どこまで高価格帯のボジョレーが売れるかは分からない」
都内の酒販売店からは、こんな声も聞こえてくる。果たして今年のボジョレーは価格に見合った出来栄えとなっているのか。