認知症には「アルツハイマー型」、「脳血管障害型」、「レビー小体型」、「前頭側頭型」の4つのタイプがあるが、国内で全体の約6割を占めるのがアルツハイマー型だ。
発症リスクには生活習慣も大きく影響する。生活習慣病の中でも特にアルツハイマー型認知症との関連性が指摘されているのが「糖尿病」だ。糖尿病患者は国内で約950万人、予備群も含めると2000万人以上いる。
日本での代表的な疫学研究「久山町研究」(1988年に健診を受けた60歳以上の1017人を対象に現在まで追跡調査を行なっている)では、糖尿病患者はそうでない人に比べて2.05倍アルツハイマー型認知症になりやすいという結果が出た。
「高血圧」「コレステロール」との相関関係を示す疫学調査もある。フィンランドのクオピオ大学の研究者キビペルト氏らが2001年に発表した「キビペルト研究」では、地元住民約2300人を1972年から26年間にわたって追跡調査し、1997年時点で生存していた65~79歳の1449人を対象に調査した。
その結果、最高血圧が160mmHg以上だった人は、140mmHg以下の人より2.3倍アルツハイマー型認知症になりやすいことが判明している。
「歯の本数」との関係を示す報告もある。山梨県歯科医師会が2007年に実施した「山梨県高齢者における歯の健康と医療費に関する実態調査」では65歳以上の高齢者1万2000人にアンケート調査を実施。歯が20本以上残っている人と19本以下の人を比較した。
すると、19本以下の人はアルツハイマー型認知症を発症した割合が、20本以上の人の1.70倍だった。
その逆のアプローチもある。2002年に名古屋大学医学部が153人を調査した「口腔外科の研究調査」では、健康な高齢者は残存歯数が平均9本だったのに対して、アルツハイマー型認知症の人は平均3本だった。
飲酒習慣との関連性についてはこんな調査がある。2009年、米ウェイクフォレスト大学の研究チームが75歳以上3069人の健康状態を6年間にわたって調査した結果を発表した。
すると、1日にワイン1~2杯の人でアルツハイマー型認知症を発症したのは13.1%だったのに対し、それ以上の飲酒習慣の人は22.3%という結果が出た。
※週刊ポスト2014年11月21日号