一体、どれほどのリストラをすれば経営不振から脱却できるのか――。
電機メーカーで“一人負け”に喘ぐソニー。先ごろ発表された2014年9月中間決算でも4年連続となる1091億円の赤字に沈み、通期の連結最終赤字は2300億円に及ぶ見通しだ。ついには、1958年の上場以来続けてきた株主配当もとりやめる決定をした。
「改めて株主の皆様にお詫び申し上げる。早期復配を目指すことを約束したい」
11月18日、ソニーの平井一夫社長は投資家向け説明会でこう謝罪したが、パソコン事業の売却やテレビの分社化、度重なる人員削減でもエレクトロニクス事業の黒字化を果たせない経営トップへの風当たりは一層強くなるばかりだ。
しかも、いまソニーの足を引っ張っているのは、平井氏自らがゲーム、デジタルカメラとともに「コア3事業」と位置付けていたスマートフォン事業だけに、社内外の失望感はピークに達している。
「5月に5000万台という販売台数計画をブチ上げ、舌の根も乾かぬ2か月後に4300万台に下方修正するなんて大風呂敷もいいところ。そもそもソニー製スマホの市場シェアは5%にも満たない中、アップルやサムスン、台頭する中国や台湾の格安メーカーを押しのけて販売増の青写真を描くには初めから無理があった」(経済誌記者)
結局、中国をはじめとする新興国での販売不振がたたり、2012年に合弁会社のソニー・エリクソンを完全子会社化したときの営業権1760億円全額を減損処理する羽目になった。そして、スマホ拡大の陣頭指揮を執ってきたソニーモバイルのトップ、鈴木国正氏を事実上更迭した。
スマホ事業はすでに1000人規模の人員削減を打ち出し、「規模を追わず、収益性を重視する」(平井氏)との方向転換を表明している。平井氏とソニー本体の構造改革に取り組んできた十時裕樹氏を鈴木氏の後任に据え、スマホ事業の“止血”を急ぐ構えだ。
モバイル事業をソニー本体から切り離す案も出る中、このままスマホから撤退する可能性はあるのか。エース経済研究所の安田秀樹アナリストがいう。
「モデル数を絞り込みながら損益を均衡させ、“スマホの次”に来るチャンスを辛抱強く待つというのが、今のスタンスだと思います。
ソニーはスマホ関連で技術力の高い特許をたくさん持っていますし、スマホ向けのカメラに使われているCMOSイメージセンサーも高性能で収益が拡大しています。今後はこうしたデバイス事業だけで生き残る方法だってありますし、身に着けるウェアラブル端末の新商品で勝負に出ることもできます」