「安く飲むなら居酒屋」という常識が変わりつつある。これまで食事をする場所だった外食チェーンが「ちょい飲み」に続々参戦しているからだ。
早くからアルコール類の売り上げ増に取り組んできた日高屋は「ちょい飲み」チェーンの先駆者的存在とされる。神田西口店の店先のショーケースには生ビールやハイボールなどの食品サンプルがズラリと並び、とてもラーメン店には見えない。
ある土曜日の19時、同店の1階(約40席)に空席はなく、窓際にズラリと赤提灯が並ぶ2階も8割方が埋まっていた。ビールやサワーを片手に盛り上がる4~5人連れが多い。
女性店員を呼び止めて人気メニューを聞いたところ、「ガッツリホルモン(480円)ですね」との答えが返ってきた。
注文すると運ばれてきたのは煮込んだホルモンの上に半熟卵をトッピングした料理。ラーメン店の一番人気が、中華料理ではなくモツ煮というのは驚かされる。
一般的に中華店の売り上げにおけるアルコールの比率は3%ほどとされるが、日高屋ではなんと約15%。「早くからつまみメニューの拡充に取り組んできた結果」(日高屋関係者)だという。
利益率が高いアルコールの売り上げが伸びれば、メニュー全体の値下げが可能となり、さらなる集客につながる。一人で食事をしていた30代の男性客はこういう。
「頼んだのは生ビール(310円)と餃子(6個、210円)、つまみの中華風味付けメンマ(110円)で、この後は中華そば(390円)を注文しようと思っています。
1000円前後でシメまで食べられるのは日高屋くらい。居酒屋の後にラーメン屋に行くより断然安上がりだからよく使います」
※週刊ポスト2014年11月28日号