発売からわずか1年で4億5000万杯という驚異的な売り上げを記録したセブン-イレブンの淹れたてコーヒー「SEVEN CAFE」。ファストフード店でのコーヒー需要やカフェ専門チェーンの客をも取り込んだとされるほどの大ヒットとなっているが、今度はドーナツを大々的に売り出すという。
すでに一部の店舗では先行販売を始めているが、レジ横に置かれた専用ケースの中には、「オールドファッション」や「ダブルチョコレート」、「クロワッサンドーナツ」など6種類のドーナツが1個100円で売られている。
<専門店を脅かす本物の味!>と謡われたドーナツは購入者からの評判も上々。まさにミスタードーナツをはじめ専門店の“お株を奪う”自信作のようで、来年度には約1万7000店全店への導入と年間6億個の販売を見込んでいるとの情報もある。
それにしても、今なぜドーナツなのか。コンビニ業界の専門紙『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏が話す。
「ドーナツは万人が好きなスイーツということもあり、コンビニ商材の中でも常に底堅い人気がありました。これまでも洋菓子売り場やパン売り場に置かれていた袋入りドーナツの販売も好調でした。
そこにきて、店内調理のカウンターフードの売り上げ比率が高まり、ローソンや中部・近畿地方を中心に展開するココストアなどでは店内で揚げたドーナツを売り出して人気になっていました。
セブンのドーナツは専用工場で製造するようなので店内調理ではありませんが、チキンやコロッケ、おでんなどカウンターフードの完成度は総じて高いですし、淹れたてコーヒーが圧倒的な売れ行きなので、相乗効果でドーナツも期待できます」
市場調査会社の富士経済によれば、確かにコンビニのカウンターファストフードの市場規模は4000億円に迫る規模(2014年予測)となっており、コンビニの中食・惣菜市場の中でも重要な“稼ぎ頭”となっている。
「今後、カウンター周りの商品を充実させるコンビニ各社の戦いは一層激化していくでしょう。ただ、店内調理の品を増やせばそれだけオペレーションや従業員教育の徹底も図らなければならないので、店舗数の多いチェーンは大変だと思います」(前出・清水氏)