投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の11月17日~11月21日の動きを振り返りつつ、11月25日~11月28日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は下落。週初は7-9月期の国内総生産(GDP、速報値)が年率換算の前期比で市場予想に反して1.6%の減少となったことが嫌気され、一時17000円を割り込む大幅下落に。予想外のマイナスによって景気減速懸念が強まってしまった。しかし、マイナス成長となったことから、景気刺激策への期待が高まる格好となり、翌日には一気に下落部分の大半を埋めてくるなど、下値での年金資金と見られる買いなども観測された。
GDP発表の翌日に安倍首相は、来年10月の消費税率10%への引き上げ時期を17年4月に延期し、今月21日に衆院を解散する意向を表明。その後、円相場は1ドル119円台に乗せるなか、トヨタ自<7203>など主力株への資金流入が強まっている。衆院解散・総選挙に向けたアノマリーとして、投開票までは上昇が期待されていることも、自律反発の流れが強まった要因。
政府は21日の臨時閣議で、衆院選の日程を「12月2日公示、14日投開票」とすることを正式に決めた。これにより、今週から3週間の選挙戦に入ることになり、選挙相場の流れが強まることになりそうだ。先週の膠着によって開票日までの上昇といったアノマリーへの期待感はやや沈静化している。しかし、今週は米国では27日の感謝祭から年末商戦が本格化する。足元の経済が好調な米国では、小売企業の好決算も相次いでいる。年末商戦での売上増が確認されてくるようだと、日本株市場への好反応にもつながろう。
また、今週からJPX400先物の取引が開始される。先物を使ったヘッジ目的の売買も可能になり、利便性の向上でJPX日経400の流動性が増えることが期待されている。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革での組み入れが見込まれるほか、企業の高ROE政策へ向かわせた要因でもある。既に手当て買いは積み上がっていると考えられるが、流動性が高まることによって日銀による買入れ対象にもなるため、市場参加者の関心は高いだろう。