産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏によれば、日本人の嫌韓感情の裏に、韓国に対する日本人の「剥奪感」(サムスンの好調や、スポーツでの韓国の好調っぷりへの複雑な感情)があるとしたら、それは韓国に対する過大評価だという。黒田氏が解説する。
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端的に言って、韓国人は寿司屋のカウンターで日本の「サケ」やアサヒビールを飲み、握り寿司をつまみながら「安倍はケシカラン!」と反日の気炎を上げている。
慰安婦報道や親韓史観が「良心的」として人気の朝日新聞とともに、アサヒビールも輸入ビールの中でトップ人気とは小憎い(?)が、日本統治時代から日本風ビールの味に馴染んだ韓国人にはいたし方ないだろう。
村上春樹の新刊発売で書店に行列ができるのは海外では韓国だけだし、東野圭吾の作品はみんなベストセラーでソウル大図書館の貸し出しナンバーワンである。韓国人たちはハルキ・ワールドに憧れ、東野圭吾の推理世界にハマっているのだ。
女子フィギュアのキム・ヨナなどはさしずめ「剥奪感」のシンボルかもしれない。浅田真央が最後まで勝てなかったのはキム・ヨナの〝神がかり演技〟のせいだが。しかし韓国男性の間では「女」としては真央の方が人気がある。「隣の芝は青い」というわけだ。
韓国人はいわば「昼は反日、夜は親日」であり「男は反日で女は親日」「学校では反日で放課後は親日」「ニュースは反日(日本非難)で企画番組は親日(日本に学べ)」という見事な(?)二重構造になっている。
筆者はそんな韓国、韓国人の不思議さの現状をナゾ解きしつつ、日本社会の過剰な反韓を戒め、その「対韓剥奪感」を癒す意味で新著『韓国人の研究』(角川学芸出版)を書いた。そこでは問題の「嫌韓ヘイトスピーチ」を「韓国への有名税」と断じた。日本もそうだったように韓国も大きくなれば国際的に「税負担」は増えるのだ。お互い興奮することはない。
※SAPIO2014年12月号