11月17日発売の週刊ポストには、警視庁を激震させるスクープが掲載されていた。『警視庁困った!相手は複数?「交番SEX」にふけった美人婦警』である。しかし、奇妙なことに、同じ事件を報じる記事が発売当日の朝日新聞朝刊に掲載された。「セクハラや交番でキス」という見出しでこう伝えていた。
〈警視庁綾瀬署(東京都足立区)で女性警察官を勤務中の交番に泊まらせたり、セクハラ行為をしたりしたとして、署員の男女4人が内規上の処分を受け、今月までに辞職していたことが同調への取材で分かった〉
朝日の記事は、発売前の「週刊ポスト」を確認して、その内容を「横取り」した疑いが濃厚だ。
新聞記者は、発売前に週刊誌を入手している。たとえば月曜発売の「ポスト」の場合、土日のうちに各地に配本される。新聞記者は発売前にいち早くそれを入手し、チェックするのが「業界の常識」だ。全国紙記者がいう。
「今回の件も、週末に早刷りを確認した記者が警視庁関係者に事実確認し、『ポスト』の記事が正しいと認めさせたのでしょう。それだけでは“丸パクリ”になってしまうので、関係者の詳しい役職情報などの“お土産”を貰ってつけ加え、独自ネタに見せる“お化粧”をした。業界関係者なら誰でも『ポスト』をパクったと見当がつきます」
かくして“スクープ”の一丁あがりとなる。朝日新聞は「取材先から情報を得たのを機に取材しました。その経緯については、お答えを控えさせていただきます」(広報部)と回答。あくまで独自取材と強弁する。
ならば、本誌を上回る取材密度の記事をもっと堂々と出せばよい。ベタ記事にするには余りにもったいないスクープではないか。
※週刊ポスト2014年12月5日号