安倍内閣は9月の内閣改造で就任したばかりの閣僚たちのスキャンダルが噴出する中で、解散・総選挙を迎えた。安倍首相の“お友達”のスキャンダル大臣たちは軒並み大苦戦が予想される。
その筆頭が「口利きメール疑惑」の塩崎恭久・厚労相(愛媛1区)だ。さる11月16日に投開票が行なわれた松山市長選と愛媛県知事選のダブル選挙では、塩崎氏は市長選に新人候補を立てて毎週末のように地元入りしてフル稼働したが、現職の野志克仁氏にダブルスコアの大敗。知事選は約9倍の票差で政敵の中村時広・知事が再選された。
「ダブル選挙で大勝した市長、知事コンビを懸命に応援したのが塩崎氏の対立候補である民主党の永江孝子(元代議士)だ。永江は知事と市長の選挙態勢をそのまま引き継いで選挙に突入したから勢いに乗っている。現職大臣とはいえ、形勢は互角か大臣のほうが厳しいくらいです」(保守系市議)
本誌がスクープした口利きメールは、塩崎氏が擁立した市長候補の後援会長夫人の特別養護老人ホームに便宜を図った内容だけに、政治権力を使った利益誘導にいよいよ有権者の審判が下される。
塩崎氏とともに松山市長選の応援に立った西川公也・農水相(栃木2区)も危ない。本誌スクープで明らかになった親族企業を利用した政治資金私物化疑惑が批判を浴びているうえ、地元の栃木2区はみんなの党の解党によって野党乱立状態から民主党現職の福田昭夫氏に一本化する調整が進んでおり、そうなると前回得票からみても西川氏は福田氏に逆転される可能性が高い。
望月義夫・環境相(静岡4区)も大接戦。悲願の大臣就任は選挙に追い風だったはずだが、政治資金疑惑が発覚すると真夜中に記者会見を開いて「死んだ妻のせい」にしたことで強い逆風にさらされている。
就任早々スキャンダルで辞任に追い込まれた小渕優子・前経産相(群馬5区)と松島みどり・前法相(東京14区)。「うちわ」配布の松島氏の前回得票率は43%にとどまり、対立候補の乱立で勝った“漁夫の利”組だけに野党が候補者を一本化すれば形勢は苦しくなる。
小渕氏はスキャンダルがあっても父(小渕恵三・元首相)から受け継いだ強力な地盤で当選は固いと見られるものの、東京地検特捜部による捜査を受けており、当選してもいばらの道だ。
ちなみに“SM大臣”の宮沢洋一・経産相は2009年総選挙で落選後に参院に鞍替えしたため今回は有権者の審判を受けない。“叩かれ強い”政治家だ。
※週刊ポスト2014年12月5日号