日本にフォークブームが起きた1970年代、西田敏行が歌った『もしもピアノが弾けたなら』が大ヒットした1981年。その頃、学生だった現在の50代は「楽器を弾ける男」に憧れ、実際にギターやベースを購入したという人も少なくないだろう。そんな50代の男たちのための楽器音楽教室が大盛況だ。第2の人生を視野に入れ、再び、あるいは初めて楽器を手にして楽しむためには、何をすればいいのだろうか。
楽器はやってみたいが、楽譜なんて読めないし、そもそも一度もやったことがない。そんなド素人でもうまくなれるのだろうか。そこで初心者を代表して本誌アラフィフ記者が音楽教室を体験した。向かった先は、ヤマハが全国展開する『ヤマハ大人の音楽レッスン』の「ヤマハミュージックアベニュー新宿リフラ・プラス」(東京・新宿区)。今回はエレキギターの無料体験レッスン(30分)を受講した。
担当講師は、吉幾三や坂本冬美のバックミュージックを演奏したこともある、キャリア30年以上のプロミュージシャン・児玉昌樹氏だ。早速ギターを構え、姿勢やピックの握り方を教わる。フレット(左手で押さえるネックにある、決まった間隔で配置された突起)の位置と、どの弦を指で押さえるかがわかる「タブ譜」を見ながら、実際に音を出してみる。
最初は薬指で5フレットを押さえ、次は人差し指で3フレットを押さえてピッキング(ピックで弦を弾く)だけ。それでも、指が他の弦に触れてしまうので不格好な音が出る。
「大丈夫、大丈夫」、「今のうまい!」と児玉講師の激励を受けつつ、俯きっぱなしながら、なんとか譜面通りの音が出るようになってくる。児玉講師が対面でコードを掻き鳴らすと、まるでセッションしているかのような気分になり、目を閉じて首でリズムまで取る自分がいた。
テキストの説明やギターの名称など聞いているうちにあっという間に30分間は過ぎた。 児玉氏が話す。
「よく“(左手の動きが難しい)Fコードができなくて挫折した”という話を聞きます。難易度の高いコードは正しいフォームで反復する必要があるので、独学では挫折しやすい。でも我々が見れば、指の動きを少し変えるだけでスムーズに弾けるようになることが多いです」
教室に通うとどれくらいのペースで上達できるのだろうか。