日朝交渉での最大の課題は拉致問題の解決だが、いまだ調査に進捗がない一方、北朝鮮への制裁解除や、日本人遺骨収集にからむ費用負担など、安倍政権は北朝鮮に譲歩を続けている。北朝鮮にしてみれば笑いが止まらない。最近、平壌を訪れた日朝貿易関係者が話す。
「平壌では、近く日本との貿易が再開するとの情報が流れ、日本在住の親族や実業家にカネを無心する手紙などが大量に送られている。平壌では、金正恩同志が“安倍首相は理想の交渉相手だ”と手放しで称賛しているという噂も聞かれた」
そんな中、日朝外交筋の間で囁かれているのが、北朝鮮から安倍政権への“サプライズ・プレゼント”である。北朝鮮に次々と「貢ぎ物」を献上する安倍自民が敗北することは北にとっても好ましくない。来たる選挙で「安倍再選」を確実なものにするため、援護射撃の「隠し玉」を用意しているという情報がある。
「公示後に北朝鮮が拉致調査に関する『良いニュース』を発表するという話が出ている。つまり、拉致被害者の生存情報だ。具体的には有本恵子さんや松本京子さんの名が挙がっている。北にすれば、ここで恩を売って自民の勝利に手を貸せば、安倍政権にさらなる見返りを要求できる。
また12月17日は故・金正日没後3年にあたる日で、その前に墓前に日朝関係での良い報告をしたいという考えを金正恩が抱いていると聞く」(日朝外交筋)
本誌・週刊ポストは日朝協議が始まって以降、松本京子さんと有本恵子さんの生存・帰国情報が日朝政府内で出ていたことを報じた(6月13日号、7月25日・8月1日号)。
だが、本誌がそうした情報を報じるたびに、政府・官邸は「ポストの記事は誤報だ」と記者クラブメディアにリークして回った。よほど日朝交渉の真の姿を知られるのが嫌なようだが、事実は本誌報道の通りに運んでいる。
※週刊ポスト2014年12月5日号