9月の第2次安倍改造内閣後に次々と発覚した閣僚スキャンダルのほとんどは週刊誌のスクープによるものだ。挙げればキリがないが、本誌は西川公也・農水相と塩崎恭久・厚労相のスキャンダルをスクープした。
西川氏に関しては、親族企業から「お歳暮代」などとして3年間で計100万円近くの物品を購入し、政治資金を私物化している事実をスッパ抜いた(10月27日発売号)。塩崎氏は、愛媛県松山市の特別養護老人ホームの開設に際し、秘書が厚労省担当者に口利きを依頼した疑惑をスクープした(10月11日発売号)。本誌は秘書が塩崎氏に送ったと見られる、口利きの内容が詳述されたメールも入手して内容を公開した。
さて、そのスクープを大新聞はどう後追いしたか。まずは西川氏のスキャンダル。「ポスト」発売2日後の日経(29日付朝刊)は、〈政党支部が親族企業に物品を発注したと週刊誌が報道〉と誌名を伏せた。
同日の毎日朝刊は〈西川公也農相が代表を務める自由民主党栃木県第2選挙区支部が、農相の親族企業に事務用品代などとして支出をしていたことが分かった〉と、出典を明記しない「分かった報道」だった。
塩崎氏のスキャンダルは、本誌が入手したメールのような「決定的証拠」を持ち得ないためか、11日の発売後もしばらく各新聞は沈黙した。その後、15日の衆院厚労委員会で塩崎氏が民主党議員から追及されて初めて記事化した。20日の日経は、やはり〈一部週刊誌〉との記述しかない。
16日の朝日は珍しく〈11日発売の「週刊ポスト」が「地元の老人ホーム事業に口利き」と報道した〉と出典を明記しているが、その記事の見出しは〈塩崎氏、秘書の口利き否定〉。一貫して塩崎氏をフォローする内容だ。新聞が週刊誌の名前を出すのは、その内容を否定する時だけなのか。
※週刊ポスト2014年12月5日号