マンガ、アニメなど、世界に誇れる日本の強みは「エンターテインメントのコンテンツ産業」だといわれてきたが、ことテレビ番組に関しては、その評価は当てはまらない。
欧米では的中率の高さで選ばれる“お天気お姉さん”が、日本ではアイドルが担当しているようなケースがその典型だが、天気予報のみならず、日本のテレビはニュース番組全体で若い女性への偏重が著しい。来日して10年近くになるアメリカ出身のモデル、アリス・ベック氏がいう。
「欧米ではベテランを使うことで重みと信頼を生んでいる。深刻なニュースを若い女子アナがキャピキャピした声で読むなんて、アメリカでは考えられない。日本の女子アナは可愛いとか、色気が重視されているようですが、そういう人は欧米では報道番組には出てきません。ジャーナリストとしての資質に何の関係もありませんから」
女子アナの服装も、外国ならクレームの対象になりかねないという。
「日本の女子アナは、なぜか決まって膝丈くらいのスカートで、肌色のストッキングを履くと決まっている。テレビ局は、彼女たちの女性らしさをアピールしたいんでしょうね。ヨーロッパでは女性キャスターはパンツルックにパンプス、襟のついた服が一般的です。
もし日本の女子アナみたいな人が出てきたら、ドイツでは女性蔑視だとクレームが来ますよ」(日本在住17年で新刊『日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン』などの著書があるドイツ人タレントのサンドラ・ヘフェリン氏)
『ニューヨーク・タイムズ』東京支局長のマーティン・ファクラー氏が「ありえません。セクハラだと猛抗議がきて、番組は一発でアウトです」と呆れるのは、ニュース番組であるにもかかわらず、女子アナの脚を舐めるようなカメラワークが使われることだ。
『報道ステーション』(テレビ朝日系)や『NEWS ZERO』(日本テレビ系)のように、男性キャスターの横で若手女子アナが相槌を打つのも、他の国のニュース番組では見られない構図である。ファクラー氏が続ける。
「男性がメインキャスターで、何も知らない女性に“教えてやる”というスタイルは、アメリカではありえません。女性をバカにしていますから。若い女性がキャスターを務める場合も、女性視聴者が見ても納得するような実績と能力のある人に限られます」
※週刊ポスト2014年12月5日号