大新聞は週刊誌の固有名詞を出すことを嫌い、紙面では週刊誌のスクープを「一部週刊誌」と書く恥ずべき慣習がある。媒体名すら明記せず記事内容を拝借する。
新聞の「コピペ体質」はどこから生まれるのか。それは仕事への熱意の欠如だけでなく、「権力者と対峙したくない」という大新聞の体質が背景にある。だから警察や政治家など「権力側」のスキャンダルを積極的に暴こうとしない。
しかし雑誌が口火を切れば、おそるおそる後からついてくる。それを見透かされるのが恥ずかしいから、小手先で「自分たちのネタだ」と装おうとするのだ。元上智大学文学部新聞学科教授で、元毎日新聞編集委員の橋場義之氏がいう。
「大部数の新聞こそ主要メディアであり、週刊誌はそれに劣るというプライドが大新聞の中にはいまだにある。しかしインターネットの発達などによって、そのスクープを発信したのがどの媒体だったのか、調べようとする人にはたちどころにわかる。これまでの新聞のように出典をぼかして“と分かった”や“一部報道によると”と書くのは、かえって批判を集める時代遅れの手法です」
彼らは高いプライドの一方で、官僚たちから都合のいい存在と見られている。ある経産省のキャリア官僚がいう。
「正直なところ、新聞は政策実現のための“イメージ戦略機関”のようなもの。詳しいペーパーさえ作っておけば、批判精神もなくそのまま報道してくれますからね。“紙をくれ”を連呼してばかりの新聞記者を“ヤギ”と揶揄するジョークもある」
※週刊ポスト2014年12月5日号