1980年代後半の大人気番組『風雲!たけし城』(TBS系)はこれまでに世界159の国や地域で放送され、NHK朝ドラ不朽の名作『おしん』が68の国や地域で放送されるなど、日本発のコンテンツは海外でも人気を集めている。
しかし、最近来日する外国人の多くは、日本で放送されるバラエティやドラマを楽しみにしているが、その期待は失望に変わることが多いという。来日2年目で現在、都内の大学に通うアメリカ出身のカレン・バーレー氏がいう。
「日本のバラエティを見ていると“あれ? アメリカで見たぞ”と感じるものがあるんです。海外の衝撃映像や秘境の風景を紹介する番組では、単に『ナショナルジオグラフィック』や『ディスカバリーチャンネル』などに日本語のテロップや吹き替えをつけているだけで、何の編集もせずに放送していることもありました。
ドラマでも同じことを感じますね。いま日本では、科学捜査ものとか、医療ものが多いでしょ? これもアメリカで大人気の『CSI』シリーズとか『ER』シリーズの焼き直しに見えてしまいます」
これには日本のテレビ局の事情が透けて見える。ある民放の編成担当社員がいう。
「海外番組の流用が多くなるのは、ひとつはコストを安く上げたいという理由からです。ロケを減らして借り物のVYRで代用すれば、スタジオ収録メインとなり予算を大幅に削減できる。だからどの局も同じような番組ばかりになってしまう。
また、海外でヒットした番組をアレンジしたバラエティやドラマが多くなるのは、広告代理店やスポンサー受けがよく、企画が通りやすいから。前例のない企画より実績のあるもののほうがGOが出やすい」
※週刊ポスト2014年12月5日号