喫煙者が3億人といわれる「タバコ大国」中国で、公道や公共の場での全面的な禁煙を定める条例が11月下旬、公布され、来年にも施行される。中国では喫煙の二次被害が7億4000万人に及び、喫煙が原因とされる死者が毎年136万6000人にものぼっているためだ。
罰金も最高500元(約1万円)と北京市民の平均月収の約6分の1と非常に高額になっているほか、今後はテレビドラマや映画でも喫煙シーンはカットされる方針だという。これに対して、ネット上では「『禁煙後進国』の実態をさらけ出しただけとの辛辣な批判が上がっている。
中国メディアによると、中国では3年前の2011年、「公共の場所での衛生管理條例實施細則」が施行。公共の場所での喫煙の禁止が決められているが、実効性はほとんどないことから、今回の条例の制定となった。
喫煙が禁止されている場所も細かく設定されており、エスカレーターや建物内の廊下、地下道などのいわゆる公道のほか、学校などの教育施設内や病院などの医療機関、スポーツ施設全般や公共交通機関などだ。
さらに、職種によっても、喫煙が禁止されており、党や国家機関、医療機関や教育機関の職員は禁止が義務づけられる。さらに、タバコを贈答品として購入することも禁じられた。
また、新聞やテレビ、ラジオ、映画などのメディアを統括する政府機関では、必要がない喫煙シーンや写真は使わないように厳格に指導することにしており、罰金も最大で3万元が課せられる。
しかし、これらの厳しい禁煙措置について、ネット上では、
「共産党政権は個人の尊厳や自由を奪っておいて、さらに、中国5000年来の習慣である喫煙の権利まで奪い去ろうとするのか。習近平政権は西側の政治制度はとらないとしているのに、タバコだけ西側と同じような規制を強めるのはおかしい。
習近平が尊敬する毛沢東同志は常に煙を絶やさないチェーンスモーカーだった。改革・開放路線の父、トウ小平も同じくチェーンスモーカーで有名だ。彼らがいま生きていたら、習近平のことを『奸漢(売国奴)』と非難するに違いない」
という痛烈な批判が書き込まれていたが、さすがにいまは削除されている。