ネット選挙が解禁されて初めての総選挙で、公示前に話題となったのが安倍晋三首相の解散に大義がないと批判するサイト『どうして解散するんですか?』だった。当初、「小学4年生が作った」と自称していたが、NPO法人代表の20歳の男子学生が小4児童になりすましていたことが発覚。謝罪に追い込まれる騒ぎとなった。
実はこの学生、菅直人・元首相の長男・源太郎氏が立ち上げた別のNPO法人の副代表にも名を連ねていた(源太郎氏は元代表で、現副代表)。源太郎氏は過去に民主党公認候補として国政選挙に出馬し(落選2回)、現在は菅元首相の事務所スタッフを務める。当然、「サイトは民主党の差し金で開設されたのでは」との憶測も飛んだ(菅事務所を通じて源太郎氏に、問題の学生との関係を問うたが、締め切りまでに回答はなかった)。
もっとも、このサイトに対して、「最も卑劣な行為」と鬼の首を取ったように自らのフェイスブックでコメントした安倍首相もいかにも“小4病”。
ネット上での振る舞いなら安倍首相も悪質だ。2011年5月には自身のメールマガジンで、当時の菅首相が福島第一原発事故対応にあたって「海水注入を中断させた」と断言。
だが、本誌連載「福島原発事故の真実」が明らかにしたように、実際は東京電力幹部の独断で「注入中断」が指示された可能性が高い(10月10日号)。安倍氏のデマは保守系メディアの菅批判につながったのだから、こちらのほうも「卑劣さ」では引けをとらない。
安倍氏のフェイスブックページのコメント欄に人種差別的な発言が放置されていることも含め、まずは我が身を振り返るべきだ。
※週刊ポスト2014年12月12日号