プロ野球の今オフ最大の大型移籍となったのが、メジャーから9年ぶりに日本球界に復帰し、ソフトバンク入りが決まった松坂大輔だ。工藤公康新監督のもと連覇を目指すソフトバンクが用意したのは「4年16億円」と、西武時代のエースナンバーである「背番号18」という破格の待遇だった。
横浜高校時代からの地元・横浜の熱烈なラブコールを蹴ってソフトバンクを選んだ理由は大きく2つ。まずは「2人の女房」の存在だ。
1人目はもちろん倫世夫人である。夫人は福岡出身。米国での生活を望んでいたといわれるが、国内復帰がやむを得なくなった以上、地元が選ばれたようだ。
そしてもう1人は、西武時代の2003~2006年までバッテリーを組んだ細川亨。細川と松坂はメル友ならぬ、「LINE(スマートフォンの無料通信アプリ)」仲間。日本球界復帰に向けて松坂があれこれと相談しており、「家はどこがいいですか?」などと早い段階から聞いていた。
もう1つの理由は、松坂が目標に掲げる200勝の達成だ。現在松坂は日米通算164勝。あと36勝だが、「平成の怪物」といわれた右腕もすでに34歳で、肘の手術も経験した。かつてのような登板回数をこなすのは難しいだけに、いかに効果的に勝ちを拾えるかが重要となる。“万年Bクラス”の横浜と、強力打線を誇る日本一のソフトバンクでは天秤にかけるまでもなかったのかもしれない。
※週刊ポスト2014年12月12日号