プロ野球の今オフ、松坂大輔がどの球団に移籍するかは大きな注目を集めているが、その松坂と並ぶ注目選手がオリックスの金子千尋だ。今季、リーグ最多勝、最優秀防御率に加え、沢村賞、MVPを獲得した。
金子はポスティング移籍を認めようとしなかったオリックスに最後通牒を突きつけるような形で、「ポスティングを視野に入れた国内FA宣言」という手段に出たが、結局はメジャー移籍を断念。しかも右肘にメスを入れることを発表した。
この展開にある球界関係者からは、「本当はメジャーに行きたいのではなく、一連の動きは年俸吊り上げ交渉だったのではないか」という声が出ている。
国内FAの移籍初年度の年俸は現状維持が原則だが、残留ならその規定は適用されない(ただし出来高払いに制約はない)。つまり、国内で他球団に移籍すれば年俸はそのままだが、残留すれば大幅な増額が見込める。
事実、オリックスは3年15億円という好条件を提示。
「右肘の手術の公表は、他球団に獲得を断念させる狙いがあるのではないか。金子は2011年にも同じ手術を受けており、この時は復帰まで4か月かかっている。今から手術を受けたとしても開幕に間に合わない可能性が高いですからね。
金子はかつて松井秀喜らを担当したMLBきっての凄腕代理人と呼ばれるアーン・テレム氏と代理人契約を結んでいる。MLB仕込みの交渉術なのかもしれない」(前出の関係者)
すでに金子はオリックスから、「うちの選手だと思っているので、まずは(肘を)元に戻すことを考えて全力で(サポートを)やらせてもらう」(瀬戸山隆三球団本部長)という手厚い言葉をもらっており、残留なら年俸アップは確実。一連の動きが本当に残留交渉の駆け引きだったとしたら大成功だろう。
※週刊ポスト2014年12月12日号