更年期障害の症状と婦人科系疾患の区別が難しいといわれる女性の40~50代。その上、婦人科検診率の低さが、がんなどの深刻な病気の早期発見を阻む。
たとえば40才以上の乳がんと子宮がんの検診率は約20%。気軽に不調を相談できるかかりつけの婦人科医やファミリードクターの不在も拍車をかけていると、女性医療ジャーナリストの増田美加さんは語る。
「40代に入るとさまざまな体の不調を感じるようになります。強い痛みが表面化しないものはたいしたことないと判断しがちですが、時間の経過とともに悪化し、手がつけられないケースも少なくありません。自己判断せず、軽い症状でも気軽に相談でき、必要であれば直ちに診察してくれる“かかりつけ医”をもちましょう」(増田さん、以下「」内同)
こうした“かかりつけ医”の存在が当たり前となっているのがヨーロッパだ。
「ヨーロッパではホームドクター(家庭医、プライマリ・ケア医)制度が確立しています。不調があるとまずホームドクターに受診、治療できる病気は投薬などで治療を行い、専門医による診察が必要な場合は紹介状を書いてくれますので、初診から大病院で診察することはありません。また、定期検診を受診しているかどうかなどの予防ケアも担っていて、幅広い医療知識を持ち、的確なアドバイスができるため、大病の早期発見に繋がるケースも高いのです。
日本でもその概念はすでに導入されており、“ホームドクター”を専門にする医師も増えています。クリニックやファミリークリニックにもそうした医師はいますから、家族ぐるみで頼れる、かかりつけ医を得ることをおすすめします」
信頼できる婦人科医をマイドクターにするのも手だ。
「更年期障害治療の1つとして、女性ホルモン剤(ホルモン補充療法)が考えられます。乳がんや子宮体がん経験者でホルモン治療が受けられない場合は漢方薬で。知らない人も多いのですが、いずれも健康保険が適用されます。万病のもとといわれる冷え症などは西洋医学では病気とは見なされませんが、漢方では得意な分野。患者自身がある程度の知識をもって臨むことが大切です」
※女性セブン2014年12月11日号