国会にも出席せず、愛息を学校に送るいつもの姿も見せず。政治資金疑惑を受けて約1か月にわたり雲隠れしていた小渕優子・前経産相が、突如出馬会見を開いたのは11月21日のこと。
「群馬のために精いっぱい働きたい。お許しいただけるなら、自民党から立候補させていただきたい」
と自民党に公認申請する意向を明らかにした。出馬表明に驚いたのは国民だけではなかった。自民党選対幹部がいう。
「党群馬県連は小渕さんの出馬断念を見越し、5区からは県連会長の中曽根弘文・参院議員の長男で秘書の康隆さんの擁立を考えていた。言わずとしれた中曽根康弘・元総理の孫で、外資系金融会社出身のイケメン。小泉進次郎さんとはコロンビア大学大学院で共に学んだ親友だ。党としては2人を総選挙で前面に押し出し、アベノミクス批判を跳ね返すつもりだったのに、まさかの小渕さんの出馬表明で党も県連も混乱した」
それでも、選挙を見据えて昨年、会社を辞めていた康隆氏は出馬する気満々。5区からの出馬は断念し、新たに1区からの出馬を狙った。
「1区が検討されたのには理由がある。現職の佐田玄一郎・元行政改革担当相は、2006年に政治資金問題、昨年は女子大生買春疑惑が取り沙汰されたスキャンダルのデパート。県連会長の弘文さんの力を背景に、公認をもらえるのではないかと踏んだようだ」(同前)
ところが、この人事には同じ群馬出身の山本一太参議をはじめ党内から、「県内で2議席を親子で占めるのはやりすぎ」という声があがり、最終的に党の判断で康隆氏擁立は見送られた。
結論は出たものの参院の弘文氏、山本氏を含め、小渕氏、佐田氏、3区の笹川博義氏、4区の福田達夫氏と二世・三世ばかりの群馬自民党。期せずして勃発した「新・上州戦争」は尾を引きそうだ。
※週刊ポスト2014年12月12日号