女性の社会進出、は中国でも大きなテーマだが、なかにはとんでもない”サクセス・ストーリー”が存在するようだ。拓殖大学教授の富坂聰氏がレポートする。
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習近平による反腐敗キャンペーンの嵐が吹き荒れる中国では、官僚が従来謳歌してきた旨味は急速に縮小している。習指導部が発足してすでに2年を数えるが、この間にも汚職党員・官僚たちの規律違反・違法行為は収まらず、摘発される者が後を絶たない。
こうしたなか、2014年11月28日付『新京報』は、過去に〝落馬〟した役人が授受した「性の賄賂」に関し報道して話題を呼んだ。
タイトルは、〈逮捕された女性官僚たち うち一人は上司を誘惑するため500万元を費やして全身整形〉である。
記事の中身は、役人が役人に対して渡す賄賂のことを扱っているのだが、たいてい賄賂の見返りは「出世」である。いわゆる〝売官買官〟(金でポストを売買すること)のことで、ほとんどのケースでは金銭が飛び交っているのだが、男女間では時々〝性の賄賂〟が使われるというのだ。
タイトルになった女性官僚は、元鞍山市国税局の局長で、劉光明である。〈報道によれば劉は、上司の気を引くため数度にわたり香港に渡り整形手術を繰り返していたという。その費用は500万元(約9700万円)にも上り、とくに臀部の整形が最も高く50万元(約970万円)もかかったという。こうした〝人工美女〟となった劉は、これを資本にわずか数年のうちに一般の税務所の副所長から、一躍鞍山市国税局の局長にまで上り詰め、矢のスピードでの出世を遂げたのである〉というのだ。
11月26日、中国共産党中央規律検査委員会は初めて規律検査の対象者について「他人と姦通した」との表現を用いていくつかのケースを公表したのだが、劉もそのうちの一人である。
同様の罪で初めて審査の対象となったのは楊暁波と張秀萍という二人の地方幹部だ。張は、山西省規律検査委員会・監察委員会副秘書長、監察委員会監察室主任などを歴任した人物で、むしろ取り締まる側であった。
報道によれば〈張は山西省規律検査委員会書記を務めた金道銘や金銀煥と関係が深く、金銀煥が書記であった期間(2008年に自動車事故で死亡)は彼の秘書を務め、金道銘が書記に就いて以降も7年近く同じポストにとどまった〉という。
また逆セクハラのケースとしては、深圳市羅湖区公安分局の元局長、安惠君の問題が取り上げられた。〈この女性公安分局長が数度にわたり部下から〝性の賄賂〟を受け取っていたことはいくつもの媒体で消化された通りである。俊英で見栄えの良い部下に、自分のために働かせ、その見返りはポストで配慮するというやり方だった〉という。
やはり中国の官僚は男も女も食欲旺盛な肉食動物のようだが、はたして裁判所で性的関係を賄賂だと立証などできるのだろうか。