投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、12月8日~12月12日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、14日の衆議院選挙投開票での与党圧勝観測から堅調推移が予想される。解散総選挙と円安というアノマリー、年末に向けた米国企業の利益送金によるドル買い、原油価格の下落基調を受けたドル全面高などで、ドルは下げ渋る展開が予想されるものの、本邦通貨当局が円安のスピードに対して懸念を表明していることで、ドルの上値は限定的か。
リスク要因は、イスラム国を空爆している有志連合国でのテロの可能性、エボラ出血熱の感染拡大懸念、地政学的リスク(ウクライナ情勢、中東情勢)の緊迫化などが想定される。ただし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額(23%⇒40%)から、ドルの下値は限定的だと予想される。
【日本の7-9月期国内総生産(GDP)改定値】(8日)
日本の7-9月期GDP改定値は、前期比年率-0.4%と予想されており、速報値-1.6%からの上方修正が見込まれている。ただ、最終的に2四半期連続でマイナス成長が確定した場合、日本経済がリセッション(景気後退)に陥ったことが確認されることになる。
【原油価格下落でドル全面高】
サウジアラビアが原油価格の下落を静観していることで、原油価格が続落する可能性が高まっている。原油価格の下落は、原油純輸入国の景気回復を支援するものの、ディスインフレ懸念も高めることになり、ドル高・円安要因となる。
【衆議院選挙の世論調査(475議席)】
14日の衆議院選挙の投開票に向けて、世論調査に注目する展開となる。4日に報じられた調査結果は、与党が参議院で否決された法案を再可決出来る317議席を上回る可能性が報じられた。与党が絶対安定多数の266議席以上を確保した場合、アベノミクスが信認されたことで、安倍トレード(日本株買い・円売り)が継続することが予想される。
265議席を割込んでも、過半数の238議席を確保した場合は、安倍トレード(が継続することが予想される。過半数を割込んだ場合、安倍晋三首相は退陣となり、安倍トレードが失速することになる。
【スムージングオペとしての円買い介入の可能性】
麻生太郎財務相は、「円の下がり方のスピードのテンポ速すぎる」と円安のスピードへの警戒感を示した。黒田東彦日銀総裁も「円安の影響は、輸出の増加などプラスの面がある一方で、家計の実質所得の押し下げなどマイナス面もある。為替相場は、ファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが望ましい」と述べ、急速な円安に対する警戒感を示している。
外為特会の持ち値は約111円60銭付近であることで、膨大な外貨準備を減らし、円安スピードを牽制できる円買い介入の可能性に要警戒か。
12月8日-12日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。