中国の習近平国家主席と妻の彭麗媛氏を賞賛するポップ調の曲の動画の再生回数が11月下旬の1週間で、1億2500万回を超えるなど、中国内で爆発的にヒットしている。曲は軽快なテンポで、歌詞も平易で分かりやすいことが大流行につながったとみられるが、歌詞の内容は2人への絶賛の嵐で、「個人崇拝が過ぎる」や「北朝鮮の歌みたい」との批判の声も出ている。
この動画は「習大大愛着彭麻麻」との中国名が付けられている。「習近平おじさんは彭麗媛ママを愛している」との意味。
この歌詞のなかに、「男性たちは習叔父から学び、女性たちは彭母さんから学ぶべきだ」との一節があるように、全体を通して習近平夫妻を礼賛する内容になっている。
この曲の動画では習氏が外遊の際、彭さんの手を取り仲睦まじく歩く様子が映し出されているなど、仲睦まじい夫婦の典型といった映像となっている。
この動画が中国の動画共有サイトの一つに投稿されると、国営新華社通信や党機関紙「人民日報」など官製メディアが積極的に報じた。習氏の気さくさや彭さんの庶民性が強調されており、中国共産党のプロパガンダとなっているようだ。
これらのことから、ネット上では「文化大革命(1966~1976年)での毛沢東主席の個人礼賛を思い出す」との書き込みがみられるなど、批判的なコメントも多い。このほかには、「まるで北朝鮮の金日成主席や金正日総書記、現在の指導者の金正恩第一書記を礼賛する歌のようで、われわれはいま北朝鮮にいるようだ」などと曲をかなり批判的に受け止める向きもある。
この曲を作曲し、ボーカルを担当した余潤沢氏はAFP通信に対して「夫妻の写真をたくさん見ているうちに、彼らの話は良いラブソングになると思った」と述べる一方で、この曲への批判的なコメントについて、「政治については何も知らない」「音楽家としてみんなが好むものをこの世に送り出しているだけ」と答えている。