近頃、高齢者が若者から眉をひそめられることが少なくない。知恵や見識、分別を備えて若い世代の手本となるはずの高齢者世代が問題を巻き起こす事例が増えているのだ。高齢者たちの「主張」は暴力に発展することもある。
今年9月には大阪市営地下鉄で66歳の男性がICカードをかざしたのに自動改札が開かなかったことに腹を立て、駅員に暴行したとして逮捕される事件が起きた。JR3社や日本民営鉄道協会が発表した2013年度の統計によると、鉄道係員に暴力をふるった加害者を年齢別にみると60歳以上が23.4%を占め、5年連続トップになっている。
企業のクレーム対応のコンサルティングをしている谷厚志氏は老人のわがままな主張にはいくつかのパターンがあると分析する。
「独居老人が増えて高齢者同士のコミュニティも崩壊しつつあるため、孤独感を持っている人が増えた。話を聞いてほしいと思うあまり、それが間違った『主張』となって表われてしまう。
別のパターンとしては『人生の先輩として教えてやっている』『みんなの代表として、私がクレームをつけている』という“世直し老人”もいます」
※週刊ポスト2014年12月12日号