浜崎あゆみ、紗栄子、AKB48からレディー・ガガ、ケイティ・ペリーも絶賛するネイリスト、「esネイル」迫田愛子さん(33才)。
顧客に対して妥協しない。迫田さんが最も大切にしていたことだが、ネイリストなどのスタッフにも迫田さんは決して妥協することはなかった。
「サロンを作って3、4年くらい経ったころですかね。あるスタッフに“もっと有名なところで働きたい”って言われたんです。“確かにその通りだな”と思って、有名なネイルサロンにするために雑誌に載せたり、ブログを書いたり…。スタッフ全員が誇りを持って働ける場所にしたかったんです」(迫田さん・以下「」内同)
そんな彼女のこだわりは、ネイリストの採用にも表れている。人気サロンであれば、実力のあるネイリストを中途採用すればいいとも思えるのだが、esネイルの場合は9割が新卒だという。
「ネイリストは職人なので個人主義に走りがちですが、esネイルではお客さまのためにチームで動いてほしい。だから、他のサロンでバリバリ活躍している人はなかなか難しいと思うんです。
私のサロンでは採用したらすぐに私が主催するネイルスクールに入学してもらって、サロン実習と技術の練習を毎日やってもらいます。学費は免除、もちろん給料も払って、半年ほど新人研修をするんです。ここまでお金をかけるサロンはなかなかないと思いますよ。1年どころか2、3年で辞められても、赤字になってしまうかもしれませんね(笑い)。でも、費用はいくらかかってもいいから、うちのサロンの考え方を身につけてもらいたい」
そうして育てていったネイリストたちはみな迫田さんの思いを体現している。ネイリストの指名が少ないことがその証拠だ。
「サロンに来るお客さまで、私だったり、各店舗の店長だったりを指名するお客さまはほとんどいません。著名人のお客さまでも同じです。うちのサロンはいつ来ても、誰がついても同じレベルのネイルを施すことができる。ネイルをしたいのに、特定のネイリストのスケジュールが空くのを待たなければならないようなことにはしたくありませんからね」
2012年にアメリカ・ロサンゼルスに店舗を展開。初めての海外店舗となったが、そこにはスタッフたちへのこんな思いがあったという。
「東日本大震災があって、もし日本で何かがあった時に外国に拠点がなければ、たくさんいるうちのスタッフを助けてあげることができないかもしれないって、ふと思ったんです。大げさかもしれないけど、それですぐ準備を始めて、翌年にオープンさせたんです。
友達少ないからかな?(笑い) スタッフは特別な存在だし、友達を大切にしようとする感覚と同じですよね。
ゆとり世代とかいわれてるけど、若い人は言われたことはきっちりできるし素直。ちゃんと説明して納得したら、ちゃんとやってくれます。店舗が増えて、現場にいられる時間は少なくなったけど、本店には何時間かだけでもいるようにしています」
最後に、迫田さんにこれからの展望を尋ねると、こんな意外な言葉が返ってきた。
「ニューヨークか、ロスにもう1店舗増やすか、ヨーロッパに展開するか…。でも、いちばんはロスでおにぎり屋さんをやろうと思ってるんです(笑い)。向こうは本当にランチが高くて、サンドイッチだけで16ドルとかする。白米だけじゃなくて、玄米とか栄養価の高いものをランチボックスのような形でデリバリーできたらなって。それはロスの店舗で働くスタッフたちを見て思いついたんです」
営業OLからネイリスト、そして、おにぎり…。共通点のないもののように思えるが、彼女にとってはすべてひとつながりのものなのかもしれない。
※女性セブン2014年12月18日号