2012年に創建時のデザインに復原された東京駅北ドーム
12月20日に開業100周年を迎える東京駅。赤レンガに白のストライプが特徴的なレトロな駅舎は、高層ビルが建ち並ぶ街にあって今も堂々たる風格で佇む。そんな歴史的建造物を造り上げたのが「日本初の建築家」の一人、辰野金吾だ。
東京駅の建設計画がスタートしたのは1890年代のこと。日露戦争の勝利を背景に国家の威信を象徴する建造物となるよう計画は次第に拡大され、6年半の工事期間を経て完成。最終的に地下1階、地上3階、全長335mという壮大な駅舎になった。中央に天皇専用の正面玄関が配置されたのは、「天皇のための駅」としても位置づけられていたためだ。
設計者の辰野が最もこだわったのは、鉄骨レンガ造りという構造だった。建物を支えるために使用された構造用レンガは約752万個に及び、作業の質を高めるために、職人が1日に積むレンガの量を制限したといわれる。この堅牢な構造ゆえ、駅舎は関東大震災にも耐え抜いた。
西洋建築の東京駅だが、南北のドーム内部には、十二支、稲穂をつかむ鷲、鎧や兜、剣、鏡など日本的なモチーフをかたどった装飾があしらわれている。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2014年12月19日号