今年2月、10年に1度と呼ばれる大寒波が日本列島を襲った。さらに11月には、アメリカで季節外れの大寒波が猛威をふるうなど、地球上ではこれまでにないような異常な気候が続いている。
当然、今年の冬も信じられないような寒波に見舞われる可能性は否定できないわけだが、その寒波は食卓に重大な被害をもたらすのだ。
流通網の混乱によって、スーパーからは日持ちがしない生鮮食品が消え、コンビニに陳列されたインスタント食品が品切れになるといった食糧不足が起きるだろう。大雪、大雨の影響で野菜や果物といった農作物が被害を受け、価格も高騰するに違いない。
2月には雪の重みで群馬、埼玉、山梨など33都道府県でビニールハウスが倒壊した。また、積雪の影響で収穫作業が妨げられ出荷量が激減。ねぎやにんじんなどの価格が2~4割上昇した。山梨県でいちごのハウス栽培を行っているグルメいちご館前田の前田克己館長はその時の被害を振り返る。
「ある程度雪を見越してハウスを補強していましたが、過去最高でも50~80cmの積雪だったのが、昨冬は130cmも積もったんです。12棟あったハウスのうち10棟が被害を受け、栽培していたいちごが壊滅しました。設備だけで約4000万円の被害です。修復は補助金が出ましたが、うちはいちご栽培しかしていないので1年間無収入になってしまった。ぶどう、桃、野菜を栽培する近隣農家のハウスもほとんど倒れています」
寒さは、ただでさえ寒い懐をさらに凍えさせる。ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんが言う。
「食料品の高騰に加え、電気、石油、ガス代ははね上がります。通常でも1~3月期はその他の月よりも1世帯あたり5000~1万円ほど光熱費がアップします。寒波が来れば負担は2万円以上になるかもしれません。また、ダウンジャケットなどの防寒服、カイロなどの消耗品にもお金がかかります」
大寒波は私たちの生活だけでなく、体調にも影響を及ぼす。寒い冬に流行る病気といえばインフルエンザだ。気象予報士の増田雅昭さんが言う。
「空気の乾燥と急激な気温低下でインフルエンザ患者が増加するでしょう。寒気の影響で亡くなる高齢者のかたが増加するおそれもあります」
また、寒さの厳しい冬は心臓発作を発症するケースが多い。風邪から肺炎をこじらせて亡くなる人が増えることも危惧されている。
予想を超える冷え込みが生活に与える影響はかように甚大だ。油断することのないよう、日々の備えをしっかりとしておきたい。
※女性セブン2014年12月18日号