衆院選を前に、週刊ポスト名物企画「老人党座談会」を開催。村上正邦氏(元自民・82歳)、矢野絢也氏(元公明・82歳)、筆坂秀世氏(元共産・66歳)の3人の政界大物OBが、今回の選挙の意義について語った。
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矢野:今回は政権交代はないが、この選挙を通じて民意というものが、やはり流れとして出てくる。前回だって比例区では、野党票のほうが自民党よりも多かったわけで、野党がバラバラだったから議席にならなかっただけでしょう。
もちろん選挙制度も考え直さないといかん。土井たか子さんのお別れ会で河野洋平さんが「政治の劣化の原因は小選挙区制にしたことかもしれない」って謝っていたけど、今頃わかっても遅いっちゅうねん(笑い)。
村上:長い目で見れば、今回の解散は自民党にとって決してプラスにはならないと私は見てますね。
安倍さんに解散を進言したのは側近じゃないかと疑っている。安倍さんの周りには、読売の渡邉恒雄さんも含めていろいろ右バネの連中がいますよね。彼らは憲法改正への思いがありますから、今解散すれば4年間は大丈夫だと、やりたいことがやれるとそそのかしたんじゃないかな。だけど、これは驕りですよ。
矢野:大変失礼な言い方だけれども、私も安倍さんの器には重大な疑問を感じますね。一国の宰相たるものは泰然自若として度量が深くて、人を許す寛容さが必要だと思う。
ところが安倍さんはネットの投稿に過剰反応したり、国会答弁で逆ギレしたり、テレビ出演の際に一般の人の発言に「これは作為的な人選だ」といったり、非常にはしたない。この調子だとどこかで大失言するか、判断の大ミスを犯す危険性があると心配している。
村上:私もこの前、下村(博文)文部科学大臣とメシを食ったら、SPがついているんだよ。「あなたを襲う暴漢がいるとでも考えているの?」っていってやったんだ。SPが必要なのは総理と外務大臣と官房長官だけだよ。そしたら、「私が大臣になったときにすでにつくようになってましたから」っていう。それをやめるのが改革じゃないのか。
矢野:いや、SPさんも仕事があるんだよ。村上某っていう危険人物が接触してくるんだから。
筆坂:暴走老人がね(笑い)。
村上:いや、これは驕りですよ。自民党の驕り!
【プロフィール】
●村上正邦(むらかみ・まさくに):1932年生まれ。1980年に参議院議員初当選。自民党国対委員長、労働大臣、参院自民党幹事長、議員会長を歴任した。
●矢野絢也(やの・じゅんや):1932年生まれ。公明党立党に参加し、1967年に衆議院議員に初当選。公明党書記長、委員長、最高顧問を歴任。
●筆坂秀世(ふでさか・ひでよ):1948年生まれ。日本共産党入党後、1995年に参議院議員初当選。党中央委員会常任幹部委員、書記長代行などを務めた。
※週刊ポスト2014年12月19日号