「選挙サンデー」の12月7日午前10時過ぎ、大阪駅からすぐのヨドバシカメラ梅田店前には50~70代の女性が集まっていた。数人ずつグループになり、「公明党」の腕章を巻いたスタッフに、熱心に質問している。
一人に声を掛けると、「今日は『なっちゃん』に会えるんや!」と、満面の笑みが返ってきた。
「なっちゃん」とは、11時30分から演説を行なう予定の山口那津男・公明党代表の愛称。同氏の演説を聞くべく、開始1時間以上前から場所取りに余念がないのだ。別の60代女性は興奮を隠しきれない様子だった。
「うちは枚方(大阪11区)やから公明の候補者がおらんのよ。自民党やいうて佐藤ゆかりが来たけど、落下傘で信用できるんかな。それでせめて、なっちゃんに会おうと思って来たんや」
みるみるうちに聴衆が集まり、開始時刻には1000人以上に膨れあがった。
山口氏が登場すると、盛大な拍手と「なっちゃーん!」の声援が巻き起こる。街宣車の上で山口氏はマイクを握り開口一番、「大阪のみなさん! なっちゃんで~す」と呼び掛け、笑い声と一際大きな拍手があがった。
東京大学法学部卒の弁護士で、永田町では「理論派で学者タイプ」(自民党関係者)といわれる山口氏だが、支持者の前では随分と違う。
「こうやって公明党が頑張れるのも大阪のみなさんのお陰です。おーきに!」と茨城県出身ながら関西弁まで披露し、再び笑いの渦を巻き起こした。
「みなさん、株を持っていないでしょう? 私も持っていません。でも、株の値段が倍になると庶民の生活にも大きな影響がある。年金の運用が安定する。大事なことなんです」
山口氏の演説に聴衆は大きく頷き、「みなさーん」と呼び掛けるたびに拍手が起き、手を振れば振り返す。氷川きよしのコンサート会場さながらだ。
※週刊ポスト2014年12月26日号