平均視聴率25%を記録した大人気ホームドラマ『ケンちゃん』シリーズ(TBS系、1969~1982年)。そんなドラマで1977年まで主役のケンイチを演じていた宮脇健さん(53才)は、誰もが知る有名子役だった。その当時、ドラマ以外にもイベントやCMに引っ張りだこ。年収は7000万~8000万円だったという。
「小学校4年生で月のお小遣いが20万円でした。駄菓子屋で箱買いしても使い切れなかった。テレビ局のスタッフにATM扱いされましたね。銀座の高級クラブに連れて行かれてドンチャン騒ぎ。会計を支払うのは小学4年生のぼくでした。中学生になってからは趣味にお金をつぎ込んで、カメラは500万~600万円ほど衝動買いしました」(宮脇さん・以下「」内同)
華やかな芸能生活を味わっていた宮脇さんだが、中学校のころから人生が暗転する。
「有名人で目立っていたからでしょう。いじめにあって、ボコボコに殴られたり蹴られたりしました。腰に爆竹を巻かれて火をつけられそうになったこともあります」
また家族関係もギクシャクし始めた。宮脇さんには6才年上の兄がいた。兄は宮脇さんのような芸能活動をせず、普通の学生生活を送っていた。
「父は仕事で多忙。母はぼくの仕事につきっきり。ぼくらがテレビ局のスタッフと豪華なご飯を食べているとき、兄はひとり家でカップラーメンを食べていた。孤独を感じていたのでしょう。手首を切って自殺未遂を図ったことがありました」
家族の団欒はまったくなかった。そして、1978年、父親が宮脇さんの個人事務所を設立しようと思っていた矢先、その資金を共同経営者に持ち逃げされ多額の借金が残った。両親は、もともと夫婦仲がよくなかったため、3年後に離婚。父親は別の女性と新しい暮らしを始め、母は兄を連れて、実家の愛媛県に出戻った。宮脇さんはひとり東京に残った。
「ケンちゃんは卒業していましたが、芸能界で仕事を続けたかったんです」
だが、仕事には恵まれなかった。一家の借金は父親が返したが、自身も借金をするようになった。
「“君のCMを作りたい。そのためには資金が必要だ”などといった甘い言葉にだまされて、何回も連帯保証人になりました。その結果、金利を合わせると3億円ほどの借金を抱えていました」
宮脇さんは借金返済のため、さまざまな仕事をこなしていった。居酒屋店員、交通量調査、東京ガスの営業…。
「仕事は同時に3つほど掛け持ち。睡眠時間は3時間でした。バイクを運転しながら信号待ち中に寝てしまったこともあります」
2001年にようやく借金を完済。現在はインターネットビジネス事業で成功を収め、妻と高校2年生の長男と小学4年生の長女の4人で幸せな生活を送っている。
「ぼくは子供のころ、家族の団欒を経験したことがない。今、父親になって家族のあたたかさを味わっています。今が最高に幸せです」
※女性セブン2014年12月25日・2015年1月1日号