厚生労働省の「将来の厚生年金・国民年金の財政見通し」ウェブサイトから「財政検証詳細結果等」という圧縮ファイルをダウンロードし、解凍した上でフォルダを何層も開いていくと、「公的年金被保険者数の将来見通し」という資料が見つかる。
このエクセルファイルの存在は本誌11月21日号が初めて報じた。全部で10パターンのファイルがあり、将来の出生数や死亡数、高齢者・女性の労働参加がどれだけ進むかといった予測によって、どのパターンで年金カットされるのかが決まる。
10パターンの中でも現実の経済に近い見通しで見ると、2015年には1.079%減らされる。表にはないが、資料では2016年はマイナス1.185%、2017年はマイナス1.212%と1年ごとに細かく減額幅が決められている。
受給額は前年の水準から毎年少しずつカットされるため、2014年を100%とすると2050年には59.5%に、2110年には21.1%になる。何と79%カットだ。
さらに出生率が今より下がって高齢者と女性の労働参加が進まないケースだと、2035年ごろからカット率はかなり大きくなり、2110年の受給額は現在の約86%カットの水準まで落ち込む。
厚労省は「受給額の調整(カット)中に所得代替率が50%を割り込めば調整を終了することを含めて何らかの措置をする」と説明している。つまり年金を現役世代の収入の半分以下にはしないということだが、実際には財政検証の中ですでに「所得代替率50%未満」になるケースも想定されており、その説明と明らかに食い違っている。
※週刊ポスト2014年12月26日号