2007年4月1日から、離婚した場合、婚姻期間中に納めた保険料に対応する互いの厚生年金(報酬比例部分)の合算を分割する「年金分割制度」がスタートした。この制度によって、専業主婦が熟年離婚をしたとしても、夫の年金を分割して受給できるのだ。
分割割合は話し合いか裁判手続きによって決められる(「合意分割制度」)が、実態は2分の1ずつになることがほとんど。では実際に熟年離婚したら、年金分割制度により妻の年金はどのぐらい確保できるのだろうか。
まず、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫が受給する厚生年金の2分の1が妻に支給される。同じく夫が会社員でも、妻に厚生年金加入歴がある場合は少し状況が異なる。この場合には、婚姻期間中の夫の厚生年金と妻の厚生年金を足して2分の1にした額が互いに支給されることになるのだ。
この2つのケースにおいては、妻の年金は増額されることはほぼ間違いない。
気をつけなければならないのは、夫が自営業で国民年金にしか加入していない場合だ。分割の対象となるのは「互いの厚生年金の合算」であるため、夫が自営業で妻が専業主婦の場合、分割の対象となる年金がないので、離婚によって妻の年金が増えることはない。
それどころか、夫が自営業で妻に厚生年金加入歴があり、厚生年金の受給資格を持っている場合には妻の厚生年金が分割の対象になるので、離婚によって妻の年金は逆に減ってしまうのだ。
「離婚すれば夫の年金が半分もらえる!」と早合点し、自分の方から年金分割の話を持ち出して、自分の年金が減らされるという事態にはくれぐれもご注意を…。
※女性セブン2014年12月25日・2015年1月1日号