神奈川県内の住宅地にある7階建てのマンションの一室。インターフォンを何度押しても応答はない。
ここは「全聾の天才作曲家」「現代のベートーベン」と話題になった佐村河内守氏(51)の自宅だ。付近住民によれば「あの騒動以降、まったく姿を見ない」という。
一躍時代の寵児となった佐村河内氏だが、栄光の日々は長く続かない。今年2月、佐村河内氏の楽曲がゴーストライターの新垣隆氏によって作曲されたものであること、全聾が詐病だという疑惑が『週刊文春』に報じられ、同時に新垣氏によって会見も開かれた。
これを受けて佐村河内氏が3月に開いた“謝罪会見”は長髪にヒゲ、サングラスというそれまでの姿を止めて報道陣を驚かせたものの、「新垣隆氏を訴える」と不満をあらわにした発言でさらなる批判を浴びる結果となった。
苦境はまだ続いている。今年3月に予定していた全国ツアーがゴーストライター問題で中止に追い込まれたとして、コンサート企画会社のサモンプロモーションが佐村河内氏に約6100万円の損害賠償を求めて提訴した。そのため佐村河内氏の財産を保全するため、提訴前に大阪地裁を通じ、冒頭の自宅マンションを仮差し押さえしたのである。
原告側が財産保全を急いだ背景には、佐村河内氏の厳しい経済状況がある。騒動発覚後、CD出荷やネット配信はすべて停止。JASRAC(日本音楽著作権協会)も、佐村河内氏の作品の使用許可を停止し、使用料を払っていない。
※週刊ポスト2014年12月26日号