市販薬はもちろん、化粧品や食料品、酒・タバコまで何でも揃うディスカウント店としてすっかり身近な存在となったドラッグストア。店舗数は全国1万7563店に及び、市場規模は6兆97億円(日本チェーンドラッグストア調べ/2013年度)まで成長した。
だが、「新たに採算の取れる出店立地を探すのは難しい」(流通関係者)といわれるほど、飽和状態になってきた。そこで、いま行われているのがドラッグストアの勢力地図をがらりと塗り替える業界再編だ。主導しているのは、グループ売り上げ8兆円超えの“巨大流通コングロマリット”を形成するイオンである。
「イオンは来年夏をめどに子会社のウエルシアホールディングス(HD)を軸に、グループ会社のCFSコーポレーション、タキヤ、シミズ薬品を統合させる。新生ウエルシア4社の売上高合計は5000億円超。業界トップのマツモトキヨシを抜いて日本一のドラッグストアが誕生する」(経済誌記者)
再編劇はこれで終わりではない。イオンが音頭を取って結成したドラッグストア連合「ハピコム」の主要加盟会社であるツルハHD、クスリのアオキまでウエルシアHDと一緒になるのではないか、と見られているのだ。
流通アナリストでプリモリサーリジャパン代表の鈴木孝之氏がいう。
「ツルハとアオキは古くから同志関係にあり、将来一緒になることはもはや既定路線ともいえます。イオンも両社に出資していますし、3社のトップはお互いの社外役員に名前を連ねるなど良好な関係が続いています。
私は遅くとも5年以内にツルハとアオキもイオン傘下に入ると見ていますが、仮にそうなれば売上高は1兆円を超えてきます」
ウエルシアは調剤薬局を併設した店舗を急激に増やしており、イオングループがドラッグストアの拡大を急ぐのは、「不足する薬剤師の囲い込みや、高齢者向け住宅に処方薬を届けるなど、新たなサービスで生き残りをかける」(前出・記者)意図が透けて見える。
知らぬ間に自宅周辺にある店が次々とイオングループになっていた――という現実は、なにもドラッグストアに限った話ではない。驚くべきことに、食品スーパーでも全く同じ構図の再編を仕掛けているのである。