学校や会社などで様々な人と出会い、新たな人間関係が生まれるが、すべての関係が長続きするわけではない。そうした中で、長く気の合う人を見分けるポイントは何か。新刊『縁の切り方~絆と孤独を考える~』(小学館新書)を上梓したばかりのネットニュース編集者・中川淳一郎氏が分析する。
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人間関係は偶然の連続だし、思っていた通りにならないことだらけである。華々しい結婚式で新郎が「僕は、一生ハルミを幸せにすることをここに誓います」「ありがとう(号泣)」といった展開は結婚式の定番ではあるものの、現実的には3組に1組の夫婦は離婚する。この不確実性があるからこそ、人間関係は難しく、そして面白い。
その一つの人間関係が一人の人間を大きく羽ばたかせることもあれば、奈落の底に突き落とすこともある。では気の合う人はどう見分ければよいか。
よく、交際のきっかけを「趣味が合ったからです!」なんて楽しそうに言う人がいるが、多分、それ以上に気の合う人間になるのは「怒りのツボが同じ人」「嫌いなものが同じ人」である。
行列に並ぶのが嫌い、ブランド物を買うことが嫌い、パーティーが嫌い、ハロウィンで仮装をするのが嫌い、猫に対する虐待に怒りを覚える、ラーメンに関するウンチクを語る人がウザい──様々な事象に対するネガティブな感覚を共有できる人とは多分気が合う。
理由は、「怒り」「嫌悪感」は完全にその二人を同じベクトルに向かわせてくれるからだ。共通の好きなものに対するシンパシーよりも、共通の敵に対する憎悪の方がその二人の絆を強固にしてくれる。そして、「怒り」「嫌悪感」というものは、ネガティブな感情なだけに、それらを抱くことに対し、若干の躊躇を覚えるもの。
だが、自分以外にも当該事象や人物に対し怒っていたり嫌っていたりすることが分かると、「あぁ、味方がいたんだ……」とばかりにホッとさせてくれると共に、仲間の大切さを知ることができる。だからこそ、飲み屋の話題では「そこにいない誰かをホメる」よりも「そこにいない誰かをけなす」方が盛り上がるのである。
※中川淳一郎・著/『縁の切り方~絆と孤独を考える~』より