あれだけ「阪神入団確実」と騒がれながら、3年ぶりに日本球界に復帰する中島裕之の行き先はオリックスだった。阪神は中島に対して4年12億円の好条件に加え、“ミスター・タイガース”掛布雅之と和田豊監督、そして金本知憲がかつて着けた背番号31か6を用意する誠意を見せたにもかかわらず、冷たく袖にされた。
一体何があったのか。中島の代理人を務めているのはスコット・ボラス氏。米球界屈指のやり手代理人として知られ、松坂大輔が渡米する際の5200万ドル(当時約60億円)をはじめとした、数々の大型契約を実現させてきた。
このボラス氏に対して阪神の中村勝広GMは当初から「マネーゲームには乗らない」と明言し、限度額を決めて交渉に臨んでいた。
「だが結果的には、ボラス氏が1枚も2枚も上手でした。彼は阪神からFA宣言してメジャー移籍を目指している鳥谷敬の代理人でもある。そうした関係を巧みに利用したボラス氏に阪神は振り回された」(在阪スポーツ紙記者)
中島側がオリックスから引き出した額は3年14億円で、1年あたりの額は阪神の提示よりも1.6億円以上高い。阪神は契約金吊り上げの“当て馬”に使われたというわけだ。
※週刊ポスト2014年12月26日号