2014年のプロ野球は、特にセ・リーグは「アホみたいな結果だった」と野球評論家の江本孟紀氏は振り返っている。ここで使われている「アホ」とは関西で親しみと温かさを込めて使われる言葉で、「変われば良くなる」という期待を込めたもの。そのアホみたいだったセ・リーグの中でも特に不甲斐なかった阪神の敗因について、江本氏が分析する。
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特に不甲斐ないのは阪神です。首位に0.5ゲーム差まで迫るが結局追い越せない。これは和田豊監督と原辰徳監督の差です。
象徴的な出来事がありました。和田監督は5月の試合中、1回だけマウンドに行き、アドバイスしたことがあります。ところがこの時はベンチに帰った直後に投手が火だるまになった。それ以来、絶対にマウンドへは行かなくなりました。責任を負いたくないんでしょうね。
この和田監督のアホな姿はいかにも“阪神的”なんです。阪神という球団は批判を極度に怖がる。オフになると、やれ掛布(雅之)だ、やれ江夏(豊)だとOBをコーチに招聘したり、ビッグネームの補強をブチ上げるのは、大枚をはたいて補強したのに優勝できなかったことを批判されないようにするための話題作りです。
反対に原監督はどんなに失敗しようとも、懲りずにマウンドに行って鼓舞していた。指揮官がこれだけ違ったら勝てません。
※週刊ポスト2014年12月26日号