昨今たびたび取り上げられるいわゆる「ブラック企業」。過酷な労働を強いる会社のことだが、NPO法人「POSSE」事務局長・川村遼平さんによると、以下の3タイプがあるという。
【1】選別排除型
新入社員を大量に採用し、長時間労働に耐えられるかを選別して合格者のみ残す。
「入社後も、不合格と判断した社員にはあの手この手で退職を強要します。大手気象予報会社は入社半年の社員に月232時間の残業をさせたのち、個人面談で『予選通過は難しい』と告げたそうです。その後、この社員は自殺しました」(川村さん)
【2】消耗使用型
重責を負わせた上、長時間労働で使い捨てる。
「正規社員だけでなく、非正規社員やバイトにも過度の責任とノルマを与え、徹底して働き詰めにさせます。働き手が『辞めたい』と申し出ても『無責任だ。認められない』と却下し、限界を超えるまで働かせる。体や心を消耗しきった働き手がやむなくリタイアすると、新人を入れて同じように酷使します」(川村さん)
【3】秩序崩壊型
人手不足や人件費対策のため違法な労働を強要する。
「エステで新人に施術させるケースや医療事務職に注射を打たせる医療機関など、未経験・無資格者に資格外の業務をさせるタイプ。れっきとした犯罪行為です」(川村さん)
ブラック企業とそうでない企業。私たちはどう判断したらいいのか。
「就職情報サイトは企業に都合の悪い情報を掲載しないので、サイトを鵜呑みにしない。『夢』『やりがい』をしきりにアピールする企業や『入社後すぐに活躍できます』という企業は、新人にいきなり過度の責任を押しつける可能性があります。『就職四季報』(東洋経済新報社刊)などで『離職率』をチェックして高ければ要注意。月給に一定額の残業代が含まれている『固定残業代』を導入している企業も危険です」(川村さん)
身内がブラック企業の犠牲となっているかもしれないときにはどうすべきか。
「労働者本人が『この働き方はおかしい』と訴えていなくても『疲れている』『眠っていない』などのサインを表情や様子から読み取れることがあります。この場合、『頑張って』と励ますのではなく、『最近、無理してない?』と聞いてあげましょう。そして、本人でなくてもいいので、法律の専門家に相談してください」(川村さん)
※女性セブン2014年12月25日・2015年1月1日号