「生物学の歴史を覆す革命」「人間は神の領域に入った」──世界中の科学者がそう言って驚嘆し、再生医療の発展を待ち望む重病患者たちに生きる希望を与えたあの日々は、一体なんだったのだろうか。
2014年12月19日、理化学研究所は新型の万能細胞といわれる「STAP細胞」について、検証実験の結果、存在が確認できなかったと発表した。実験で試みた細胞塊は1800個にのぼったが、STAP細胞を有するマウスは一匹も作れなかった。
理研の小保方晴子さん(31才)を筆頭著者にした論文が1月に英ネイチャー誌に掲載されて以降、不正が次々に発覚し、4月の会見で「STAP細胞はありま~す」と彼女が宣言したのが今や昔、世界中を巻き込んだ一連の騒動は、これで終焉を迎えたことになる。
心機一転ということか、12月19日にワイドショーの直撃取材を受けた小保方さんは、髪の毛をバッサリ、ショートカットにして登場。すでに同月21日付で理研を退職済みだが、“処分”はまだ終わったわけではない。
理研がSTAP細胞に費やした費用は、今回の再現実験を含めて3500万円にのぼるが、このお金が小保方さんに向いているのだ。
「理研は税金で動いている組織ですし、一連の研究費用が公的なもので、かつ小保方さん個人に下りていたものだとしたら、辞めた後であっても、本人に返還請求が行く可能性はありますね」(東京大学医科学研究所の上昌広教授)
無職となった彼女が支払うにはあまりにも巨額で、彼女に安寧の日々が訪れるのは、まだ先のことになりそうだ。さらに、一連の騒動は、小保方さんの家族にも暗い影を落としていた。
東京都内の大学で心理学の教授を務める母親は、この半年間、大学を休むことが増え、「授業は休講ばかりだった」(同大学学生)という。千葉県にある実家も、最近は静まりかえったままである。
「不正が発覚してからは、まったくご両親の姿を見なくなりました。いつも雨戸を閉めきったままで…。お父さんが日用品の買い出しなんかをしていた時期もありましたが、最近はまったく見かけません」(近隣住民)
※女性セブン2015年1月8・15日号