年末年始の帰省シーズンは、たとえ数日間の滞在だとしても、親と寝食を共にし、今後の家族の課題について語り合うことのできる貴重な時間となる。体調面については、体重の大幅な増減や酒量・喫煙量、顔色やむくみなどに変化があれば、健康状態の異変が疑われる。
一方、もっとも聞きにくいのは「お金」に関する話だろう。
『田舎の家のたたみ方』(メディアファクトリー新書)の著者で、相続に詳しい経済ジャーナリストの三星雅人氏が具体的なテクニックを明かす。
「“血圧は大丈夫?”“体で痛むところはない?”などの体調を気遣う話の流れの中にお金の問題を組み込んでいくといいでしょう。
“もし急病で当座のお金を振り込まなければいけないときは、どこの銀行口座に振り込めばいいの?”“そういうときのための保険には入っているの?”など聞けば全貌が見えてくるはずです。
ただし、一足飛びに根掘り葉掘り聞き出そうとすると不審がられます。その後の電話連絡や再度の帰省も視野に入れて、長期戦で臨みましょう」
帰省時は、お茶の間でテレビを囲んでいる時に、「正月ならでは」のニュースを目にすることも多いだろう。
たとえば「ストーブから失火して火事」とか「高齢者が孫を乗せて起こした交通事故」などだ。そういったニュースをきっかけに、保険の加入の有無などを問いかけることができる。「お金」の問題ではないが、運転免許返納についても相談できるかもしれない。
正月だからこそ済ませやすいこともある。「年賀状の確認」だ。親が亡くなったときにまず始めに苦労するのが、訃報を誰に伝えればいいのかということ。年賀状は、親の交友関係を知る絶好の手段だ。
「仕分けを手伝うよ」「自分宛ての年賀状がないかと思って」といえば不信感を持たれることなく確認できる。さらにいえば、年賀状の差出人は個人だけではない。取引のある金融機関や保険会社を把握するのにも役立つ。
※週刊ポスト2015年1月1・9日号