大韓航空前副社長のチョ・ヒョナ氏(40才)による“ナッツリターン騒動”が世間を賑わせているが、そもそも韓国ではヒョナ氏のような財閥一族の非常識行動が問題となっている。
たとえば、韓国ドラマを見ると、劇中には必ずと言っていいほど財閥の人間が出てくる。身分違いを超えた男女のシンデレラストーリーが定番なのだが、財閥御曹司も令嬢も、えてして横柄でわがままだ。
「韓国では、財閥一族の悪行が社会問題化しており、国民感情として、そもそも彼らへの反感が根強いんです。だからこそ財閥の人間を悪役として登場させている部分があります。韓国ドラマは、現実世界の映し鏡というわけです」(韓国のテレビ関係者)
実際、今回のナッツリターン事件以外にも、財閥一族の起こしたトンデモ事件はたくさんある。
例えば、総資産30兆円、総従業員40万人という韓国最大の財閥である「サムスングループ」では、2005年にこんな騒動を起こしている。
「2代目会長のイ・ゴンヒ氏(72才)が、バカンスでフランスにある世界最大級のスキー場『クーシュベルスキー場』を訪れたんですが、彼は、“他の客がいるのは嫌だ”と、6万ユーロ(約800万円)を払って貸し切ってしまったんです。フランス国内でも“前代未聞”と報じられ、大顰蹙を買いました」(韓国の全国紙記者)
このゴンヒ氏の息子で、現サムスン副会長のイ・ジェヨン氏(46才)もまた、トラブルメーカーだ。2013年、長男を名門中学に裏口入学させ、それが発覚して大問題になったのだ。
「息子の点数を不正に水増しさせるという悪質さで、結局、この長男は自主退学に追い込まれました」(前出・韓国の全国紙記者)
一方、サムスンのライバル「LGグループ」は、2012年、高卒で、財閥一族でもないチョ・ソンジン氏(58才)を家電部門の社長に抜擢し、「韓国財閥社会に風穴を開けた」と賞賛された。
もっとも、そんなソンジン氏も、2014年9月にドイツで開かれた家電見本市で、サムスン製の洗濯機を故意に破壊した容疑で検察に告発されるという、期待を見事に裏切る残念ぶりを見せているのだが…。
韓国3位の財閥である自動車会社「ヒュンダイグループ」では、これまでに創業者の孫が3人も大麻で逮捕されており、深刻な薬物汚染が浮かび上がる。
日本人にもなじみ深い「ロッテグループ」も酷い。
「1994年、当時の副会長の長男・シン・ドンハク氏が、ドライブ中、割り込んだ軽自動車の運転手に腹を立て、“軽のくせに生意気だ”と因縁をつけて車から引きずりおろし、暴行して逮捕されています。彼は1997年にも大麻で逮捕されていて、典型的なドラ息子です」(在韓ジャーナリスト)
ドンハク氏は2000年にも飲酒運転で取り締まりを受けており、その遵法精神の乏しさには呆れるばかりである。
金融最大手の「ハンファグループ」は、会長の起こした事件がドラマにもなるという伝説をお持ちだ。
「2代目会長のキム・スンヨン氏(62才)は、次男がナイトクラブで従業員に殴られたことに激怒し、報復のために暴力団を雇って店を襲撃したんです。彼は懲役1年6か月執行猶予3年という判決を受けましたが、政府から不可解な特赦があり、何事もなかったかのように会長職に復帰しました。この事件が元になり、JYJのジェジュンが出演したドラマ『ボスを守れ』が作られたのです」(前出・韓国のテレビ関係者)
この2代目会長の次男の素行不良は筋金入りで、2011年にはひき逃げで逮捕され、2013年には大麻で逮捕と、警察沙汰のオンパレードである。
※女性セブン2015年1月8・15日号