大韓航空前副社長のチョ・ヒョナ(40才)が起こした「ナッツリターン騒動」で韓国財閥の存在が一躍注目の的となっている。
事件はこうだ。2014年12月5日の深夜0時米ニューヨーク発、韓国仁川空港行きの大韓航空086便のファーストクラスに搭乗していたヒョナ氏は酔っ払いながらくつろいでいた。そんな中、女性客室乗務員がマカダミアンナッツを袋のまま出したことで「サービスがなっていない!」と激怒。罵声を浴びせた上で、すでに滑走路に入っていた同機を搭乗口に引き返させ、事務長を飛行機から降ろした。
他にも韓国財閥の子供たちが巻き起こした事件が頻発しており、財閥子息の非常識ぶりが日々報道されている。なぜ、韓国の財閥一族はこうも問題児ばかりなのか。コリア・レポート編集長の辺真一氏が語る。
「例えば大企業のオーナーが亡くなった場合、日本では、子息が引き継ぐのは財産だけで、経営権までは引き継ぎません。
でも、韓国ではこの経営権まで継がせてしまうんですね。韓国財閥は一族経営なので、血の繋がりだけで後継者になれてしまうんです。しかも、一般社員が役員まで上り詰めるのには、早くても20年ほどかかりますが、財閥子息はわずか数年で役員になってしまう。なんの苦労もなく親族がポストを与えてくれるので、仕事で苦労するということを知らないんです」
韓国の全国紙『ハンギョレ新聞』が主要15財閥を調査したところ、財閥3世たちは、平均すると28才で入社し、31才で役員になっていることが判明した。入社から役員登用までわずか3年である。
知識も経験も、まるで足りない人間が会社の経営に携わっているのだから、不祥事が連発するのも無理はない。
「幼少期の教育も問題で、財閥子息は“周囲はみな召使い”というような環境で育てられるので、傍若無人な振る舞いになりやすい。
それに、韓国は学閥やコネ社会なので、財閥子息ともなれば、“友達になっておけば、将来、あの会社に入れるぞ”と、学校でもどこでも、周囲の人間がすり寄ってくるんです。下手に気分を害して嫌われようものなら、自分の将来も絶たれるとあって、誰も注意したり、悟らせたりしない。そうして、彼らはますます人間的に欠落していくわけです」(前出・辺氏)
韓国では、主要10財閥が国内の年間GDPの75%を占めており、財閥一族は確かに経済的発展には寄与している。だが、その代わりに、モラルや道徳観など、金で買えないものは手放してしまったのかもしれない。
※女性セブン2015年1月8・15日号