中国河北省邯鄲市で、農村地帯の男性に嫁いだベトナム人花嫁20人以上が11月下旬、一夜で集団失踪していたことが分かった。いずれも、20年以上も前に現地の農村男性と結婚したベトナム人未亡人が紹介した女性たちばかりで、計画的な逃走とみられ、地元警察は「極めて悪質」として捜査本部を設置し、女性らの行方を追っている。北京紙「新京報」が報じた。
結婚を仲介した未亡人は、すでに中国籍を取得している呉美玉さん(45)。呉さんは中国人男性と結婚したが、夫が死亡してからは村で理髪店を経営していた。
呉さんは今年初めから村の男性にベトナム人女性を紹介。料金は最高で20万元(約360万円)から10万元(約190万円)。この村の一世帯当たりの平均年収は約3万元(約57万円)と、年収のほぼ4倍から7倍ほどと安くはない額だ。
女性たちは「町に買い物に行く」「妹に会いに行く」などの理由をつけて、11月21日の朝から出かけており、翌朝になっても帰ってこないので、女性たちの夫や家族ら約100人が紹介者の呉さんの理髪店に押し寄せたが、呉さん宅はもぬけの殻だった。
呉さんは近隣の人々に「ベトナム人女性の結婚手続で一時帰国する」と言い残していたという。
呉さんが紹介したベトナム人女性は「器量が良い」と評判で、村の他の独身男性から花嫁斡旋の依頼が引きも切らなかったというほどだ。
それなのに、なぜ集団失踪してしまったのか。これについて、地元警察では「呉さんが花嫁たちに、こんな田舎ではなくて、もっと良い条件の嫁ぎ先があるとか、次の嫁ぎ先に決まれば、謝礼をはずむなどとそそのかして、連れ出したのではないか」と推測している。
中国では一人っ子政策の影響で、農村部ばかりでなく、都市部でも結婚適齢期の女性の数が足りず、独身男性が増えている。中国衛生省と計画生育委員会は今年7月の記者会見で、「この30年来、男性が女性よりも2400万人から3400万人多く出生しており、男性の結婚難が深刻化して、社会の安定にも影響しかねない」と警告を鳴らしていた。