中国の北京市中心の故宮博物院近くにあり、皇帝も訪れたという由緒ある2軒の古刹で、重要文化財に指定されている玉座や膳部、家具などを使って、どんちゃん騒ぎの宴会が開催されていることが分かった。さらに部屋を改造して顧客が宿泊できるようにされていたという。北京市政府が実態調査を開始したほか、「金儲け主義も極まれり」との批判的な声が強い。国営新華社電が報じた。
これらの寺院は北京市の重要文化財に指定されている嵩祝寺と智珠寺。両寺とも清朝の雍正11年(1733年)に創建されており、雍正帝がモンゴルから招いたチベット仏教の活仏である高僧が住職を務め、宗教行事の際には皇帝も臨席したと古刹。
それだけに、龍座と呼ばれる皇帝専用の玉座や屏風、皇帝用の膳部や食器など多くの名品が残っていることで知られている。
ところが、寺院関係者が旅行代理店とタイアップして、昨年から顧客を宿泊させるサービスを開始。当初は僧坊に泊めていたが、業者側のリクエストから、皇帝が宿泊したという部屋を電気設備が使えるように大規模な内装工事を行なうなど大幅に改造して利用できるようにいた。玉座などの名品も一緒に使えるようにして、客を泊めていた。
一泊は最低でも2000元(約3万6000円)で、最も高い部屋は4000元(約7万6000円)。宴会の料理は同800元(1万5200円)からで、多いときには10人以上でどんちゃん騒ぎをしていたという。
このことが口コミで広まり、管理責任がある北京市政府が抜き打ちで実態調査を行ない、事態が発覚した。業者は罰金を申し渡され、寺院側も戒告処分を受けている。
北京市は重要文化財に指定されている他の古刹で同じことが起こらないよう「歴史的建築物や公園など公共資源における私的利用に関する暫定規定」を発表して、場合によっては刑事罰を科すことも考慮に入れている。
これについて、ネット上では「金儲け万能主義の風潮はついに神聖なる寺院も及んでいる証拠。地方でも行われているに違いない。習近平指導部は徹底的に腐敗分子を一掃すべきだ」との批判の声が高まっている。