親の七光り――2世タレントはよくそういわれる。金、地位、名声を持った有名人の子供に生まれたからこその特権はもちろんある。その一方で、彼らにしかわからない苦悩がある。有名人の子供に生まれてどんな人生を歩んできたのか。
モデル兼プロレスラー・赤井沙希(27才)は、2013年8月、両国国技館でプロレスデビュー(所属団体『DDT』)。2014年12月23日にはプロレスの聖地・後楽園ホールでリングに立った。
赤井沙希の父は1980年代前半に「浪速のロッキー」の愛称で活躍した元プロボクサー、赤井英和(55才)。沙希が3才の頃に両親が離婚した。引退後、芸能界入りした父が映画の主演俳優に抜擢され、忙しくなり始めた頃だった。母親は飲食店で働きながら、女手ひとつで彼女を育ててくれた。父親と会うことはほとんどなかった。
そして英和は1993年に会社員の女性と再婚し、2男1女に恵まれた。1996年には『24時間テレビ』(日本テレビ系)のチャリティーマラソンランナーに起用された。100km完走後、番組で再婚した妻と子供の名前をあげて感謝の言葉を紡いだ。
その姿に多くの視聴者が涙したが、沙希は違った。
「当たり前ですけど、私の名前は呼ばれなかった。ああ、私にとってお父さんはこの人しかいないけど、この人は私を娘と思っていないんだろうなって…テレビを通してだからか、父を一層遠くに感じました」
寂しくて悔しくて…その夜、母に見つからないように布団の中でこっそり泣いた。その後、路上でのスカウトをきっかけに、17才でグラビアデビューを果たし、父と同じ芸能界の道に進んだ。
「当時の事務所が赤井英和の娘として売り出したんです。スポーツ紙にデカデカと『赤井英和の娘デビュー』と載っていました。素の私を見てほしかったから、そういう売り出し方は嫌だった。暴露本を書いてくれという話もたくさん来ました。もちろん断りましたけど(苦笑)」
※女性セブン2015年1月8・15日号