92才の内海桂子師匠は現役最高齢漫才師として今も舞台に立っている。高砂屋とし松さんとコンビを組み、浅草橋館でプロ漫才師デビューしたのは1938年。2015年には芸歴が「喜寿」を迎える。
現在でも月に8回は浅草東洋館で舞台に立ち漫談を披露している。出演の持ち時間は15~20分程度だが、自分で着付けをすませて、師匠は出番の1時間前には楽屋入りする。
「舞台でやることは、すべて自分で考えているんですよ。都々逸(三味線に合わせて七・七・七・五の音数で歌う)も自作で。それをお客さんにも歌ってもらうの。そうやってお客さんと遊ぶことも、ひとつの芸なのね。みんなで一体になって楽しんでもらうんです。毎晩、布団の中で都々逸を考えながら寝ています」(内海さん・以下「」内同)
そう語り、師匠は自作の都々逸を披露してくれた。
「『いやでないから いわせておくれ 一生おまえと いたいから』、『いやなことでも 1日たてば いつか忘れて いるものよ』、『意地で生きていた 以前と違い 今じゃおまえに 命がけ』など、『い』だけでもこれだけ浮かんで、いくらでも作れる。あとは『老化現象 論ずるよりも 老化防止は 廊下拭け』なんてね。人間は頭を使っていないとボケちゃうんですよ。単純なことだけれども、ボケ防止を兼ねて、毎晩いろいろ考えているの」
90才の時には、テレビ番組の企画で脳年齢が50~60代と診断され、その驚異的な若さが大反響を呼んだ。日々の習慣には都々逸作りの他にも、師匠の脳を若く保つ秘訣が隠されていた。
「20年近く、新聞のクロスワードパズルを欠かさずに解いています。これがあるから、他の新聞には変えられない(笑い)。わからないときは辞書を引いたり、夫にインターネットで検索してもらったりしながら解いてます。『なんでこんな簡単な言葉が出てこないんですか』と68才の夫とけんかしながらね。おかげで新しい言葉を覚えたり、忘れていた言葉を思い出したりできる」
※女性セブン2015年1月8・15日号